研究開発実績 WORKS
2025.06.13
マイクロリアクターによるマグネタイト(Fe3O4)微粒子の合成
研究開発テーマ
磁性付与などのアプリケーションに用いられるマグネタイト (Fe3O4) 微粒子について、マイクロリアクターによる高速合成を試みました。
研究内容
Fe2O3微粒子の合成法として、FeCl2-FeCl3水溶液とアルカリ (NH3) 水溶液を混合する手法を用いました。それぞれの水溶液を、1枚目の画像のように超高速混合マイクロリアクターとバッチ合成のそれぞれで混合し、微粒子分散液を合成しました。分散液中の粒度分布をレーザー回折・散乱法で測定し、また磁気回収・蒸発乾固した微粒子表面の形状と組成を、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)およびエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)で分析しました。
研究成果
レーザー回折・散乱法による分析(画像2枚目)により、バッチ法で合成された微粒子は、直径~20 μmの主粒子と、直径~6 μm程度の副生粒子の混合物であることがわかりました。これに対して、超高速混合マイクロリアクターを用いた場合では、副生粒子の体積分率が低下し、単分散な微粒子が合成されました。さらに、主粒子の粒径が減少することがわかりました。この結果、画像3枚目に示すように、体積平均径およびその幾何標準偏差がともに減少しました。 合成された粒子は強磁性であり(画像3枚目左下)、磁気分離・洗浄・乾燥によって回収されました。回収された粒子をFE-SEM/EDXで分析したところ、Fe3O4の化学量論比に近い組成をもつことと(画像3枚目下)、粒子表面がバッチ法で合成した場合と異なり大きな表面積を示す(画像3枚目右下)ことが示されました。広い表面積をもつ微粒子は強い物理吸着を示すので、磁性付与などのアプリケーションへの応用が期待されます。